Fevered Visions / 熱病の幻視 (1)(青)(赤)
エンチャント
各プレイヤーの終了ステップの開始時に、そのプレイヤーはカードを1枚引く。そのプレイヤーがあなたの対戦相手であり、そのプレイヤーの手札にカードが4枚以上あるなら、熱病の幻視はそのプレイヤーに2点のダメージを与える。


昨日、ばぶるすCS行けなかった悲しみを背負ったメンバーを中心にした練習試合をのその亭でしていたのですが、ある方(KMYMさん)が採用していたこのカードをみて、ぼんやりとそんな風に思ったわけです。

さて、実は既にこのカードはサイドボードに採用されているレシピが数個存在します。
色の問題上、そのカラーはイゼット系であり、そうなると一週間前に話題になった Todd Anderson の青赤コントロールがまず頭に浮かぶと思います。

http://sales.starcitygames.com//deckdatabase/displaydeck.php?DeckID=100696

このデッキのサイドボードには4枚積まれています。
果たしてどんなデッキに入れるのでしょうか?
それを考えるうえで、熱病の幻視の本質を見抜く必要があります。

1.互いにカードアドバンテージを平等に与える
自分のほうが先に1枚引ける、という考え方もありますが、実際にはこのカードを1枚場に置いているので得しているかは怪しいです。ということは互いにカードを引き増すためのものです。

2.終了ステップに対戦相手のカードが4枚以上のとき2点のダメージを与える
このカードの本質ともいえる部分ですが、実をいうとこれだけが強さの秘訣ではありません。

3.このカードは重複する
この点が大事なのです。
カードを引く効果も、ダメージを与える効果も張った分だけ倍増するにもかかわらず、張った分だけ引く枚数が増えるので4枚以上に到達しやすくなり、誘発する可能性は極めて濃厚になるのです

さらにこのカードのきわめて憎たらしい性質がもう一つあります。

4.終了ステップにカードを引かせる
一見欠点にも思える能力です。
引き増したインスタントや瞬速以外のカードの展開が次回以降に持ち越しになるからです。
だけど、これは相手目線からは全く別のものになります。
終了ステップに引き増すので、ダメージを回避するためにカードを消費するタイミングを損ねているのです。



以上の特性から、熱病の幻視は見た目以上にダメージを誘発させやすいカードであることがわかります。
では、どのような相手にサイドインすべきなのでしょうか?

実をいうと、このカードは採用するデッキの特性によって狙いが変わります
Todd Andersonのデッキはマッドネスやら氷の中の存在やらゴーグルやらで一見見慣れないド派手なカードに誤魔化され気味ですが、このデッキは根幹は赤い除去コンです
いつか本体にそれらをぶちこんで倒す試合もあるでしょうけど、基本的には除去して除去しまくってゴーグル・チャンドラ・ジェイスでアドを広げて勝利するようになっています
・・・と、書くと聞こえはいいのですが当然欠点もあり、生物多めのアグロデッキなどには強いけど、PWコントロールやランプのような重デッキには無駄牌が多めなのです
相手が黒いデッキだと細い勝ち手段をハンデスや苦渋の破棄などで処理されやすく、ウラモグでも出ようものなら死すべき定めでも入れてなければ背景ストーリーのような展開は演出できないのです

ただ、これらのデッキは共通して中盤以降の強さが目立つデッキであるために、序盤から軽い火力で動けるように構築されたTodd Andersonのデッキだと分が悪いという点もあります
そのため、これらの重たいデッキの得意とする時間帯で挑む方法として熱病の幻視にフォーカスが当てられます

白黒系の除去コン ・・・・・・ 除去が多いため、Todd Andersonのような生物をあまり展開しないデッキには自然と手札にカードが溜まりやすい
ランプ系 ・・・・・・ 手札をダンプさせるデッキではあるが、重たいカードが多いため一度に展開できる数は限られている。

このような理由で相手は徐々に手札を消費しきれずダメージを受け続けます
とはいえ、勝つには正直なところ、もうひと押しが必要ですが、そこは直接火力のある赤青系コントロールなら造作のないことでしょう
引き増した手札から脅威を展開されるリスクも当然増すことから、リスクを軽減するための打ち消し呪文は嗜みで必要かもしれません
Todd Andersonのデッキには否認がサイドに取られているので、上記のデッキには普通にサイドインするカードでもありますし、そこは問題ないと思われます


閑話休題


ケラノスか? という自分の問いですがTodd Andersonの青赤コントロールの場合は多分ケラノスのようなものです
エンチャントで触れにくく、対コントロール向けという意味では似ています

ケラノスではない使い道もあります。続いてはこちら

http://www.hareruyamtg.com/article/category/detail/2730

昨日行われた晴れる屋のPPTQ異界月のベスト8ですが、その中の山田 拓也さんの青赤ドラゴンは自分が考えていたデッキに凄く似ています
熱病の幻視の使い方のもう一つの点が「軽」くて「継続的」なダメージ源として期待できることです。すなわちクロックパーミッションでの硫黄の渦もどきとしての運用です

山田さんのデッキは優秀な航空戦力からクロックを刻み続けるデッキです
軽量生物を龍詞の咆哮とシルムガルの嘲笑というハマればスタン随一のカードパワーを持つ2枚看板でアシストしていますが、例に漏れずこの手のデッキは線が細いです
モダンやレガシーならともかく現在のスタンはこの手のデッキの根幹を支える軽量優良スペルに恵まれておらず、致死量のクロックを刻み切るにはある程度時間を必要としますので、その間にチャンドラや衰滅が飛んでくるとさすがに息切れの恐れがあります

その息切れを予防し、かつ攻めの軸を変える方法として熱病の幻視が採用されていると考えられます
この発想はやはり凄いなぁと思いました



<欠点もある>


最後に手放しで褒めたこのカードの弱点を挙げます
ずばり
サイドボードに4枚積む
ことです
重複すると効果が強くなりますから、ここは頑張って4枚積みしたくなります
貴重なサイドボードを特定の苦手デッキ対策のためにきちんと4枚積める余裕があるかは少し考える必要があります
ケラノスは破壊不能ですし、硫黄の渦は基本出てしまえばレガシーでは議会の採決ぐらいでしかめったに触れられないパーマネントであることもアシストしていますが、ここはスタンです。ブレインストームで探しに行くこともできません。ドロモカの命令・世界を壊すもの・ウラモグ・苦渋の破棄などの対策カードもメインから存在しています
やはり4枚積めることなら積みたくなってしまいますね・・・

また能動的にインスタントで手札を消費できる相手も危険で、赤いデッキが流行っている時期にはこのカードは逆風です
今は赤い火力もお葬式なのでスタンで使う分にはこの欠点は割と低リスクかなぁと思います

それと場に干渉しないカードなので、劣勢で引くと極めて弱いという点もありますが、こればかりは仕方ないでしょう
ただ何も干渉しないカードを4枚積むリスクもまた、それなりのものであることは覚悟する必要があると思います


長々と書きましたが、私は熱病の幻視は面白いカードだと思いましたので、100円レアのうちに4枚使うカードは買っておこうかと思ったってのを言いたかっただけです
実際に使うかは全くもって謎なのですが・・・下の環境とかで使わんと思うから別に値上がりはせんと思うんですけど、最近のスタンの値段の動向見てると恐怖しか感じないので、そんな強迫観念に襲われたってだけの話です

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