唐突だが、『糞レア』の定義とは何であろうか――?


このような凡夫な問いなど、20年以上も歴史を誇るMTGにおいて使い古された常套句のような代物だろう。
そこいらのコモンのストレージに混ざっててもおかしくないような、相場的なものであるとする人がいる。
あるいは下位互換が腐るほどいるバニラかそれ以下の激弱カードパワーだという人もいる。
さすれば、今だかつて使い道が思いつかないような挑戦的な効果のカードであると考える人もいるだろう。
お小遣いを叩き、350円のブースターを剥いた際に幸せそうな表情の高校生を一瞬にして曇らせて舌打ちさせるものも定義としては十分すぎるだろう。

ただ、それが個々の定義によって大分ムラはあるものの、ある程度の部分で重なり合うことがある。

すなわち「レアカード」であること。
レアカードという括りだけは間違いなく、それだけでこいつらは特別なのだ。
所詮コモン、所詮アンコモン、いいや!そんな言い訳は彼らには通じない!

レア

ブースター15枚のfoil除けば最高の希少価値。そこに君臨する、どうしようもないやつ。

そんなどうしようもないカードたちに魅せられた8人のバカが、自分の大好きな糞レア42枚を持ち寄って14+1枚の擬似ブースターパックを作り、ドラフトする。

――2回目となる今回。
経験則で15枚目の枠にラヴニカへの回帰のギルド門サイクルをランダムで足し、ドラフトデッキとしてのクオリティを高くするというジャッジの名判断がさえわたる。
ただ欠点を言うのであれば、糞レアよりピック順位が上に行きやすいのがこの二色ランドって点である。

今回はこの如何わしい変則トーナメントにおいて神が舞い降りた試合をカバレッジ風に紹介する。

KMYM VS ONYM

両氏はいずれも挑戦的なデッキを組んでくる鹿児島の誇る糞デッカーである。
KMYM氏の罪状としては『家眠杯で謎のバベルデッキを持ち込んでくる』
ONYM氏の罪状としては『ずべらデッキ』『同盟者ライブラリーアウト』
このあたりから二人の糞レアへの造詣の深さは、語るに及ばずである。

このプレインズウォーカーの灯が脳天にバチバチ灯ってそうなお二方は、ピックの時点から雲行きの怪しい行為をしていたことはある程度予見できていた事実であり、まぁ実際そうなっていた。

今回はこの巨匠同士の対決をカバレッジとしてお送りできることに、私としては非常に名誉であることを先に記しておく。

なお、動画もあるため、是非動画のほうもご覧頂きたい。

https://youtu.be/pkYi-V6ko4k

さて本戦に移ろう。

KMYM先手、マリガン占術からボトムに送ったKMYMは島を置く。返すONYMもギルド門をタップインで続けてセットする静かな立ち上がり。
双方セットランドゴーのまま、先に動いたのはONYM。秀でた隊長をプレイ。強い、普通だ。

若干の弁明を図るとするならば、糞レアとは個人の定義である以上、何が混ざっていても誰も文句は言えないのだ。たまに普通に強いカードが混ぜっていることもある。

さて、KMYMは曲がりくねりのロシーンをプレイ。


Rosheen Meanderer / 曲がりくねりのロシーン (3)(赤/緑)
伝説のクリーチャー — 巨人(Giant) シャーマン(Shaman)
(T):あなたのマナ・プールに(◇)(◇)(◇)(◇)を加える。このマナは、(X)を含むコストにのみ支払うことができる。
4/4


4マナ4/4 能力は特に読まなくてよさそうだが、マナレシオに沿っているだけで評価されるのはリミテッドの常だ
ところで動画見て気付いたけど、効果の確認を一度もしないONYMのファインプレイがここで輝く
デッカーはこの程度のカードは知っていて当然らしい

ONYMは百手巨人をプレイし、KMYMは窮地の主をプレイ。
最近までストレージを温めてくれていたナイスガイの登場に盤面は膠着
だって糞レアドラフトだもん。除去もコンバットトリックも滅多に飛び交いません。攻めたら負ける。わかりやすい試合です

だが、セオリーは破ってこそ。ONYMのプレイしたカードは厄介なキマイラだ。


厄介なキマイラ/Perplexing Chimera  (4)(青)
クリーチャー・エンチャント ― キマイラ(Chimera)
対戦相手1人が呪文を1つ唱えるたび、あなたは厄介なキマイラとその呪文とのコントロールを交換してもよい。そうしたなら、あなたはその呪文の新しい対象を選んでもよい。(その呪文がパーマネントとなったなら、あなたがそのパーマネントをコントロールする。)
3/3


これは動きにくくなったKMYM、まずは窮地の主で攻撃し、誘発型効果を解決させる


Master of Predicaments / 窮地の主 (3)(青)(青)
クリーチャー — スフィンクス(Sphinx)
飛行
窮地の主がプレイヤー1人に戦闘ダメージを与えるたび、あなたの手札にあるカードを1枚選ぶ。そのプレイヤーは、選んだカードの点数で見たマナ・コストが4よりも大きいかどうかを宣言する。それが間違っていたなら、あなたはそのカードをそのマナ・コストを支払うことなく唱えてもよい。
4/4


ちらりとカードを伏せながら効果を説明するKMYM
すると迷うことなくONYM「5以上で」
KMYM「・・・じゃあ見せません」

何とも言えないシュールなやりとりの後、第二メインフェイズからフルタップでKMYMが唱えたカードに周囲は騒然となる


Omen Machine / 前兆の機械 (6)
アーティファクト
プレイヤーはカードを引けない。
各プレイヤーのドロー・ステップの開始時に、そのプレイヤーは自分のライブラリーの一番上のカードを追放する。それが土地カードである場合、そのプレイヤーはそれを戦場に出す。そうでない場合、そのプレイヤーは可能ならばそれをそれのマナ・コストを支払うことなく唱える。


ざわつくギャラリー
KMYMのデッキコンセプトが少しずつ紐解かれようとしている
どうやらビッグマナデッキのようであるが、ただのビッグマナではないらしい

厄介なキマイラではどうにもならないONYMは自分のドローステップにトップをめく

 静寂宣言 

ONYMは寂しく追放領域にそれを送る
……本来なら低速同士のデッキ対決、静寂宣言は強いカードではあるのだろうが、このファイレクシアの忌々しき機械の前には受動的なカードはもう意味を為さない

KMYMはトップから土地を置き、窮地の主で攻撃。飛行に触れられないONYMに対し、着実にクロックを刻む
再び伏せられたカードに宣言は5以上とするONYMだが、KMYMの伏せたカードはエルフの射手であり、そのままプレイされる

KMYM「(エルフの射手を)キマイラで奪えますよ」
ONYM「えっとぉ・・・」

言葉を濁しつつ、そのままターンを返してもらうONYMのトップはなぜかfoil仕様の次元の先達


Planar Guide / 次元の先達 (白)
クリーチャー — 人間(Human) クレリック(Cleric)
(3)(白),次元の先達を追放する:すべてのクリーチャーを追放する。次の終了ステップの開始時に、それらのカードをオーナーのコントロール下で戦場に戻す。
1/1


何とも言えない戦力の追加でターンを返すと、KMYMのトップからめくれたカードは強烈なイシュ・サーの背骨!


Spine of Ish Sah / イシュ・サーの背骨 (7)
アーティファクト
イシュ・サーの背骨が戦場に出たとき、パーマネント1つを対象とし、それを破壊する。
イシュ・サーの背骨が戦場からいずれかの墓地に置かれたとき、イシュ・サーの背骨をオーナーの手札に戻す。


だが、めくれたカードを「唱える」ことを強制する前兆の機械は、厄介なキマイラと友情コンボしてしまう!
ONYMは背骨のコントロールを奪い、改めて窮地の主を対象にし、目前の空の脅威を排除することに成功する
そしてKMYMのターンが終わる前に、ONYMは次元の先達の能力で厄介なキマイラのコントロールを再び取り戻す
まさかこんなコンボを仕込んでいるとは、ONYMも十分にイカれたプレイヤーである

やがて怪物化したONYMの百手巨人がアタック。KMYMはエルフの射手でブロックし、ここは攻守交替の構え。

淡々と前兆の機械から魔化魍が蔓延る世界へと誘われていく。
次のステージはONYMのトップデッキからもたらされた。


Sunken Hope / ついえし希望 (3)(青)(青)
エンチャント
各プレイヤーのアップキープの開始時に、そのプレイヤーは自分がコントロールするクリーチャーを1体、オーナーの手札に戻す。


泥沼が加速する。ロシーンのみをコントロールするKMYMにとって攻撃を許されない状況が発生。
ONYMは三体の生物(怪物化百手、キマイラ、隊長)のうち、隊長を出し入れすればいいだけの状況だ。
残った巨人がKMYMを殴るだけの盤面。完全に流れはONYMに来ている。

何より生物が欲しい。
そんなKMYMの願いにトップが答える――古木のヴァーデロス。


Verdeloth the Ancient / 古木のヴァーデロス (4)(緑)(緑)
伝説のクリーチャー — ツリーフォーク(Treefolk)
キッカー(X)(あなたがこの呪文を唱えるに際し、あなたは追加の(X)を支払ってもよい。)
苗木(Saproling)クリーチャーと他のツリーフォーク(Treefolk)・クリーチャーは+1/+1の修整を受ける。
古木のヴァーデロスが戦場に出たとき、それがキッカーされていた場合、緑の1/1の苗木クリーチャー・トークンをX体戦場に出す。
4/7


残念ながら唱える際に追加コストでキッカーを払うことはできるものの、ONYMは厄介なキマイラをコントロールしている。
ただでさえ頭数が欲しい盤面ではあるものの、ここはキッカーなしで唱えるKMYM。ONYMは小考し、キマイラとツリーフォークのレジェンドを交換する。

ONYMはディミーアの脳外科医、シアクーをトップからプレイし、続けて手札から隠し持っていた囁く狂気をプレイ
一見このプレイは謎に見えるが、実は意味がある。

前兆の機械が出ていると、「プレイヤーはカードが引けない」のだ!

つまり手札にあるカードを捨て、それで何も起こらず終了である。
前兆の機械によって完全なトップデッキ勝負になり、盤面上優位なONYMにとって、それは決め手となる一発であった。
KMYMは手札のカードを捨て、この状況でデッキトップ勝負に挑むほかなくなった。
巨人に張り手され、残りライフ8まで迫られたKMYMにとっては、チャンプブロックを考慮しても残された猶予はあと僅かだ。

そして彼がこの大一番、トップから公開したカードこそ、まさにKMYMのデッキを象徴する存在であった。


Timesifter / 時間ふるい (5)
アーティファクト
各アップキープの開始時に、各プレイヤーは自分のライブラリーの一番上のカードを追放する。点数で見たマナ・コストが最も大きいカードを追放したプレイヤーは、このターンの後に追加のターンを行う。複数のカードが最高で同点である場合、同点であったプレイヤーは同点でなくなるまでこの手順を繰り返す。


――圧倒的な糞レア。

前兆の機械 + 時間ふるい

今ここに新旧ミラディンブロック最凶の糞レアカード同士がタッグを組み、屹立と鹿児島に降り立ったのだ!!

ギャラリーがざわめく中、試合をする二人にしかわからない超越感がそこにあった。
彼らは勝ちに来たのではない。 糞レアを本気で使いに来たのだ!
黒い除去カードを中心にピックした俺は二人の試合を見ながら猛省する。奴らこそ、ホンモノだとっ・・・!!

もはや既存のMTGの世界から逸脱し始めた、恐るべき坊主めくりゲームが始まった!

KMYMの合図に二人はトップをめくる。土地と土地。じらすね。もう一度二人はトップをめくる。

二人のトップに一瞬空気が凍り付く

KMYMの公開したカードは潮汐を作るもの、ロートス(8マナ!)
だが、同時に公開されたONYMのカードは金色のマナコスト的にも目に優しくないカード。
なんと刈り取りの王!!
点数で見たマナコストは、10である!

まさかと思っただろう。
爆笑するギャラリーの渦中で、きっとKMYMは思っただろう。
時間ふるいを置いた自分よりも、多分デッキのカロリーの中でも最強クラスのロートスよりも重たいカードを公開してくる野郎がいるなんて!

考えてみればKMYMは非常に真っすぐなコンセプトデッキである。
窮地の主や前兆の機械で大型コストのカードを踏み倒し、かつ時間ふるいで圧倒的ターンアドバンテージを得る。
一見キチガイそうに見えて、そのコンセプトは糞レアドラフトいう一発勝負の中では、恐らく参加者中もっともスマートなデザインに辿り着いた天才といえる。
無駄なようで無駄がない、そんなデッキである。

だが、相手が悪かった。
ONYMはKMYMほどタクティクスに富んだ人間ではなかったかもしれないが、彼もまた何か別の世界を目指す住民だった。
大量に巡りめく糞の中で、糞の足し算をしながらデッキを完成させた男なのだろう。
ONYMはマナバランスや個々のカードパワーよりも、次元の先達+厄介なキマイラ+ついえし希望のような「キマったら気持ちよさそうなシナジー」に飛びつく男である。
だからこそKMYMの想定外のカードが平気で飛び出してくるのである。

二人とも天才だった。
マジックの糞レアは確実にこの二人に微笑んでくれているだろう。
事実上の決勝戦であることは参加者全員この時点で何となく感じ始めていた。

ストーリー上ではコジレックに敗北し、海の藻屑と化したロートスだが、ここ鹿児島では巨大カカシに引き裂かれたわけである。
追加ターンを得たONYMはこのあと2回の攻撃フェイズを経て、残りライフ8のKMYMを倒すことだろう。

勝負は決した。皆、そう思った。

だがトップデッキという運命の輪は再び回り始める。
そう、時間ふるいにターンを得たONYMは続けて前兆の機械の解決を行う必要がある。
公開されたカード、それは


Plague Wind / 疫病風 (7)(黒)(黒)
ソーサリー
あなたがコントロールしていない、すべてのクリーチャーを破壊する。それらは再生できない。


ここに来て、さらに過剰なほどのカードパワー。
さらに9マナのカードをめくるONYMのデッキレシピが非常に気になるが、それ以上に一見このオーバーキルなカードには問題があった。

KMYMの場には厄介なキマイラがいるのだ!!
唱えることは強制であり、KMYMはキマイラのコントロールを渡すことで、この吹きすさぶ邪悪な風向きを、逆にONYMの陣営へと向けたのである!
ONYMの場にはキマイラを含め、クリーチャーは全て一掃されたのである。

まだ勝負を決する時ではない。MTGの神がそう囁いている。
笑いの神かもしれないが。

解決忘れのついえし希望で、とりあえず百手巨人がONYMの手札を経由して再び場に戻るが、これはまた希望がついえる予定である以上出す意味はない。
いずれにしろ、KMYMのライフを詰められないONYMは続けて追加ターンを得て、時間ふるいを解決する。

ONYMの公開したカードは黎明をもたらす者レイヤ(9マナ!)
三連続でロートスよりマナコストが重いカードが公開されるONYMのデッキに思わず不安と笑いがこみ上げる
追加ターンを得たONYMに前兆の機械がもたらしたものは


Azor’s Elocutors / アゾールの雄弁家 (3)(白/青)(白/青)
クリーチャー — 人間(Human) アドバイザー(Advisor)
あなたのアップキープの開始時に、アゾールの雄弁家の上に牛歩(filibuster)カウンターを1個置く。その後、アゾールの雄弁家の上に牛歩カウンターが5個以上置かれている場合、あなたはこのゲームに勝利する。
発生源1つがあなたにダメージを与えるたび、アゾールの雄弁家から牛歩カウンターを1個取り除く。


圧倒的糞レア勝利条件カード。
だが、このような特殊すぎる状況においてはまさに「詰めろ」ともいえるエンド級カード!

果たして開発陣は「前兆の機械と時間ふるいを置かれた盤面でのアゾールの雄弁家の実用性」を検討したのだろうか?
ともあれ、この糞レアはこの最高の舞台に降り立ったのである。
KMYMを本気で仕留めるために。

ついえし希望で戻らぬよう、百手巨人を一緒に出して再びターンを得るONYM
もちろん牛歩カウンターが一つ乗り、巨人はふわりと1フィート空へと昇っていく。
あとはこれを繰り返せばONYMの勝ちが決まる。

時間ふるい解決。ONYMはアナフェンザの伝令(1マナ)と突然弱気なカードがめくれるが、KMYMは土地。ONYMのターンはまだ終わらない。
トップは大笑いの写し身。仕方ないのでアゾールの雄弁家が二人に増える。

二個目の牛歩が乗り、追加ターン。時間ふるい解決。KMYMから対抗激が見えて、ようやく次はKMYMが動ける番となる。
このターン、前兆の機械はONYMに現実の修正という何もしないカードがめくれただけで終了。

久しぶりのKMYMのターン。時間ふるい解決。ONYMのトップから2枚目のアゾールの雄弁家がめくれる。ONYMはどんだけこのカード好きなの?
とりあえず前兆の機械を解決。KMYMの場にピット・ファイター、カマールが降り立つ。
ダメージを飛ばせる速攻の生物というと聞こえはいいが、ブロッカーとしては使い捨て。かつ稲妻では牛歩を貯めさせないのが限界だ。
巨人にブロックされるだけで終わるので、ここはロシーンを出しなおしてターンを返す。

時間ふるい解決。ONYMからマナの迷路がめくれ追加ターンを得る。
三つの牛歩カウンターがたまったが、カマールの前ではあまり意味はない。むしろ稲妻で詰められるだけだ。
残りライフ8しかないKMYMに対し怪物化した巨人が襲いかかる。
ここはKMYM、カマールでブロックし、タップして巨人と相打ちを図る。

そう、ここでONYMはある事実に気付く。
自分の盤面にアゾールの雄弁家しか残っていないことに。つまり次のターン、牛歩が4つ溜まると同時についえし希望で手札に戻ってしまうのだ。

これで勝負はわからなくなった。

時間ふるい解決。ラッカ・マーがKMYMのトップから公開され、次ターンの権利を得る。
そして無情にもONYMの雄弁家が手札へと翻る。前兆の機械で秘宝の探求者をプレイし、牛歩のない雄弁家を再度手札からプレイしてONYMのターンは終了。

KMYMのターン。時間ふるい解決。ONYMから憑依された板金鎧がめくれる。
前兆の機械は、主人に土地を一つ与えるだけという無情な仕打ち。

ONYMのターン。時間ふるい解決。ONYMから祝福された転生がめくれる。機械は土地をONYMに提供する。
牛歩が1個溜まり、手札に戻った探究者を出しなおすだけ。

ONYMのターン。時間ふるい解決。KMYMから都市国家の破壊者がめくれる。機械は再びONYMに土地を与える。
先ほどと同じ展開。牛歩は2に。

KMYMのターン。時間ふるい解決。KMYMから本質捕らえがめくれる。そしてようやく土地ではないカードが機械の効果でめくれる。


Guided Passage / 誘導路 (青)(赤)(緑)
ソーサリー
あなたのライブラリーを公開する。対戦相手1人は、その中からクリーチャー・カード1枚と土地カード1枚とクリーチャーでも土地でもないカード1枚を選ぶ。あなたは選ばれたカードを自分の手札に加える。その後あなたのライブラリーを切り直す。


これはどちらかというとKMYMにとって手痛いカードだろう。
友好牌を持ってこれる可能性があるが、反面、ライブラリーを圧縮し、何より相手に自分の残された手の内を明かすことを意味する。

吉と出るか、凶と出るか。
ONYMが差し出したカードは「先端生物学者、魂の導管、島」というコメントに困る代物。
どうやらあまり脅威となるようなカードもKMYMのライブラリーの中に眠っていなさそうである。

――ところで、文字にするとわかりづらいが、二大ミラディン糞レアが出てからというもの、ライブラリーの圧縮速度は通常の2倍以上である。
互いのターンに最低1枚はトップが追放され、アクティブプレイヤーはさらに1枚追放しているわけである。
――こうなると、さすがにライブラリーアウトを意識しないというのは難しいことだろう。
だが、機械の効果でカードは引けないためライブラリーアウトという敗北は発生しない。
つまり本来なら引き分け――なのだが。

・・・やがて、終局が迫る。

KMYMのターン、時間ふるいで厄介なキマイラをめくったKMYMは霧裂きのハイドラという土地より空虚な機械の贈り物を享受する。

残りライブラリー4枚のKMYM、あと1枚のONYM
ONYMは血顎の狂信者を時間ふるいでめくるが、機械は何も供給しない。

KMYMはトップをめくる。
沈黙の調停者が機械から提供される。互いに戦闘に一体ずつしか参加できなくさせるという悲しい置物生物は、彼に最後の万歳アタックすら許さない。

そして無情にも残りの二枚がめくられる。土地と土地・・・

こうして二人のライブラリーは底をつき、ついえた希望がクリーチャーの出し入れをし続けるだけという閉ざされた世界が現れた。

――だが、それをONYMの雄弁家は許さないのだ!
互いの戦いの象徴たる山札が潰えてこそ、そこに始めて牛歩の希望が芽吹きだす。
なんと遅延で不毛な栄光なのだろうか。
糞レア同士がぶつかり合うと、互いが対消滅し、二つのアーティファクトに支配された停止世界だけが残る。
だけど、誰もがバカにした牛歩カウンターがついに花開き、ONYMだけ一筋の救いをもたらすのだ。
ここまでくると、ただの試合を通り越して、哲学すら感じさせる。



こうしてONYM勝利で幕を下ろした
だが、忘れてはいけない

これは2本先取のうちの、まだ一戦目に過ぎないということを・・・・・・
こんな高カロリーの試合の後も、まだこんなデッキを回さないといけない二人に心から賞賛を贈りたい

コメント

骨災い魔
2016年4月2日21:52

こんなに面白いカバレッジを書いていただきありがとうございます!
動画見ましたが、第三者目線から見るとほんとにひどい試合ですね。

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