EDH界で頻繁にみられるジェネラルをフューチャーして、その傾向と対策を考える。
初見殺しを少しでも減らすのが目的(月2回ぐらい連載程度できればいいな)

EDH傾向と対策:第一回「トレストの密偵長、エドリック
http://hyougakinosaiyaku.diarynote.jp/201401122032048243/
EDH傾向と対策:第二回「始祖ドラゴンの末裔」
http://hyougakinosaiyaku.diarynote.jp/201401262119339844/



Ad Nauseam / むかつき (3)(黒)(黒)
インスタント
あなたのライブラリーの一番上のカードを公開し、そのカードをあなたの手札に加える。あなたはそれの点数で見たマナ・コストに等しい点数のライフを失う。あなたはこの手順を望む回数繰り返してもよい。


前回から一ヶ月以上開きましたが、第三回目です。インフルエンザが全部悪いんや……サボってたわけじゃないんや……

で、今回のテーマはむかつきデッキです。
ジェネラルじゃないじゃん!と思うかもしれませんが、むかつきデッキには多種多様なジェネラルの選択肢がありますので特定の代表ジェネラルを挙げるのは置いといて、ここでは「むかつきデッキ」と総称させて頂きます。

さて、EDHのデッキの中でも特に異彩を放つ「むかつきデッキ」は、アングリーハーミットと並ぶEDHのコンボデッキといえます。
数多の無限コンボが跋扈するEDH環境ですが、純粋に即死コンボを前提にデッキ全体がシフトされているのがむかつきデッキの特徴です。
それは総マナコスト数という概念に基づいて設計されているということを意味します。

総マナコスト数とは?
デッキ内の全てのマナコストを合計した数値のこと。
ピッチスペルやフラッシュバックなど一概にマナコストだけで考えると問題がある場合もあるが、EDHにおいてデッキ全体のバランスを考える上で非常に重要な要素。
詳しくはひまじんさんのEDH解説3(総マナコスト・固有色とパワーカード)をご参照ください。
http://himajin.diarynote.jp/201401070713565931/


むかつきというカードはカードを手に入れ続ける代償にそのカードの点数で見たマナコスト分のダメージを食らうという欠点があります。
その欠点を限りなく解消するためにはデッキ全体を極限といえるレベルにまでシェイプアップしていく必要が出てきます。

・むかつきを引くためのサーチ&ドロー
・むかつきを打つためのマナソース
・勝利条件をみたすカード

シェイプアップする過程で、最低でもこの三つの要素を満たさなければなりません。

・妨害
・対妨害
・追加の勝ち手段

実際にはこの要素も考える必要が出てきます。

<実際の動き>
「マナ加速系展開→サーチ→むかつき」を基本とします。
むかつきが5マナかかるのですが、実際には妨害警戒をしてカウンター、ハンデス、妨害対策置物も多めです
豊富なサーチからキーカードであるむかつきだけでなく、状況次第で妨害対策のバウンスやカウンターを探してきます

<むかつきを引くためのサーチ&ドロー>
ドローはかなりピーキーなものが選ばれがちです
ウルザのガラクタやミシュラのガラクタ、祖先の幻視なら0マナなので採用されやすく、渦巻く知識や夜の囁きはマナコストがかかるので採用を避けたいレベル
独楽は継続してキーカードを探してこれるし、チューターと相性がいいので採用
サーチ系はマナコストがかかっても勝ち手段に繋がるのである程度採用されますが、2マナまでが限界ライン
3マナはGrim Tutorや願い系なら採用するかもしれないレベルって感じです
大まかではありますが、こんな感じでデッキパーツが選ばれています

<むかつきを打つためのマナソース>
0マナアーティファクトマナソースを基本とし、1マナ系のマナ加速アーティファクトや暗黒の儀式などのカードを採用しています
その中で彩色の宝球などのマナフィルターはむかつき後のエンドカードの色マナを捻出する目的でも採用されやすいです

<0マナクリーチャーが多め?>
実はむかつきデッキの特徴の一つに「0マナクリーチャーを多数採用している」というポイントがあります。
それは主に三つの目的があると考えられます。

1.悪魔の意図
最大の理由はこれですね。クリーチャーをサクることでデモチューと同じ効果を有します。
2.弱者選別
これも大きな理由の一つ。マナ加速力が高い反面アド損の強いカードですが、1枚のキーカードのプレイでゲームを決するこのデッキなら適任と言えます
赤だと業火への突入も入るかもしれませんね
3.ブロッカー
むかつきデッキに対して誰でも出来る対策手段の一つがライフを削ること(=殴り続けること)です。
それらに対して使い捨てとはいえ壁運用できます。ブロッカーを立たせないデッキというのはエドリックなどのデッキに対してそれだけでハンデを背負ってしまうのですから馬鹿に出来ない利点といえるでしょう。

<勝利条件をみたすカード>
むかつきは当然として、まずはそれと相性の良いカードが選ばれます。

・天使の嗜み
これでありったけのカードを引ききってゲームを決めに行きます。最も定番となる組み合わせです。
・ファイレクシアの非生
これも天使の嗜みと同様の使い方。3マナエンチャントというのが重いのですが、ズアーで持ってこれるという利点があります。
・Lich
古のカード。デメリットが強烈だが、黒単で組めるという長所があります。ただ4マナできつすぎるデメリット。あまり採用されません
・ヨーグモスの意志
復帰用カードであり、息切れ防止カードでもあります。

フィニッシュカードとしては次のようなものが選ばれる傾向にあります

・不快な夢
定番その1。このままでは引き分けになるので、天使の嗜みなどのお膳立てが必要です。仲裁の契約を入れる場合もあります。
・研究室の偏執狂
定番その2。むかつきだけで引き切るのは難しいので、実際にはDemonic Consultationなどでライブラリーを全て空にするなどの工夫が必要です。
・燃焼(内なる火)
フラッシュバックを前提としていますが、三人のプレイヤーのライフを焼き切るのは少しパワー不足です。そのため豊富なマナ加速から燃焼通常プレイである程度のダメージを与えた後、フラッシュバックで膨大なダメージを割り振って120点ぐらいを削るように調整します。内なる火は最高の相方で、手札のぶんだけ赤マナが出ますので、これで何とか焼き切ることが可能でしょう。
似たようなカードで炎の嵐がありますが、こっちは捨てた枚数ぶんだけ対象を取らないといけないのでエンドカードとしてはかなり癖が強くて使いにくいです。
・彗星の嵐
内なる火などのマナ加速から打ちます。
こちらは40マナ程度あればゲームを決着できるので膨大な有限マナ加速手段からフィニッシュできる利点があります。
・苦悶の触手などのストームカード(アドストーム)
豊富な手札から軽量スペルを連打してストーム系へと繋げてゲームを決しますが、多人数を同時に処理できる程のストーム系カードがさほど多くないことから比較的少数派なデッキと言えます。ストーム稼ぎのためハーキルの召還術などを採用されている場合があります。
ストーム自体は打ち消しに強いという利点がありますが、むかつきが打てた時点で否定の契約などを手札に加えている可能性が高いことからも利点がさほど生かれているとは言い難いです。
・突撃の地鳴り、大地の刃(むかつきアサルト)
豊富な手札からありったけの土地をぶん投げて倒すパターンです。
これをフィニッシャーに据えるということは、必然的にデッキ全体を引き切るぐらいの充実したハンドを前提としており、デッキ内に相当数の土地があるということを前提にしています。土地単デッキっぽい動きの場合、むかつきからのこのパターンを警戒していいかもしれません。
・死せる願いなどの願い系
むかつきデッキでの願い系のメリットは「デッキ内の総マナコスト数の制限に引っ掛からない点」です。等価返し、精神力などのエンドカードを潜ませることができます。

<妨害>
積極的な妨害は基本的に行いません。
しかしカウンターやバウンス系、殺戮の契約などを採用しているのでコンボが決まったら負けるという最悪の場合はそれらのカードを切って妨害することとなります。
仕組まれた爆薬は数少ない0マナでパーマネント対策が可能なカードなのでよく採用されます。

<対妨害>
妨害カードは基本的に対妨害用に使用されます。
むかつきデッキは受身であることを苦手とします。理由は当然ながらデッキ内総コストと言う縛り。打ち消しは否定の契約であり、精神的つまづき、払拭などが定番。あのforce of willは5マナだから不採用というケースも多いのです。
攻める姿勢を維持するため、思考囲いなどのハンデスや防御の光網、ザンティッドの大群、堂々たる撤廃者などで「むかつき側から対策を封じる」動きを取ってくるのが特徴です。まぁそれすらも掻い潜ってくる妨害置物に対しては蒸気の連鎖や残響する真実、撤廃などのバウンスで基本的に何とかします。

<追加の勝ち手段>
これも軽量でなくてはならないので選択肢は相当限られてます。追加の勝ち手段を考えないデッキも多いですが、一応ケアとして入れている場合も多いです
・Power Artifact+厳かなモノリス
無限マナからX火力でゲームを終わらせます。デッキ内に一定数のX火力がある場合なら考えていいかもしれません。ジェネラルがズアーやウーナなら一考の余地あり
・死せる願い(生ける願い)からの潮吹きの暴君
0マナアーティファクトが豊富なので、願いからの潮吹きの暴君も悪くない選択肢です
サルベイジャーコンボも場合によってはありかも知れませんが4マナって重いからねぇ……。
もちろんジェネラルを軸にして攻めるというサブプランもあります。

<むかつきへの対策>
速さこそ最強の対策である!といわんばかりにキルスピードの高いむかつきデッキ。
一方で実のところそのデッキ構築制約によって対妨害においては弱さを露呈しやすいデッキであるのも事実です
ただ、対策する側も当然速さが不可欠なのも悩ましいところ。前述通り、むかつきデッキ側が対策手段への対策を講じているケースも多いからです
基本的に『むかつきが減速する対策を併用した上で、ライフレースによってむかつき側のライフを削っていく』スタイルを取ります。
とにかくあっちはライフリソースが生命線ともいえるので、できるだけ殴って殴ってライフを削るというのが誰でもできる対策となるのです。
それを踏まえた上で、むかつきによく刺さるカードを考えていきます。

・エイヴンの思考検閲者、疑念の影、締め付けなどのサーチ制限カード
単純ですが最もよく刺さるカードです。
むかつきへとアクセスさせるサーチ系カードが一定のキープ基準となるむかつきにおいて、その目論見を破綻させます。
根本的対策ではないのでトップむかつきでゲームエンドもありえるのが欠点ではありますが、サーチ対策は比較的汎用性の高い妨害なので悪くありません。

・無のロッド、石のような静寂
アーティファクトマナソースに依存しているのでこれで減速化を図れます。これも劇的ですが、むかつきデッキはインスタントマナ加速が多めなので悠々とコンボ開始する場合もあります。
サーチ制限系もそうですが、ヘイトが高い置物はそれだけで第三者が破壊してくるケースがあります。

・ガドック・ティーグ
これでむかつきはイチコロってわけよ……。
むかつきらしいデッキを見かけたら緑頂点や召喚の調べで真っ先にサーチしてもいいかもしれません。
でもこれヘイト半端ないのですぐ処理されるイメージがある。

・エーテル宣誓会の法学者、法の定め、秘儀の研究室などのプレイ制限カード
ガドックと同様。基本的にむかつきからのワンキルショットでゲームを決してくるので後続封じは強いです。

・沈黙
というわけで、むかつきを打った後でレスポンスで使用すると一気に悲しみに染まるカードです。
一方でむかつき側が打ってきてコンボを安全に通すカードでもあります。まさに毒を以て毒を制す。

・虚空の杯
ほぞサーチから。基本は1か2です。サーチ打たせない、バウンスで対策置物を処理させない。
デッキは選びますが三なる宝球なんかのコスト増大系も刺さります。

・露天鉱床、不毛の大地など
マナ縛りもありますが、すべてを護るもの、母聖樹を何より叩き割りたいというのがデカいです。

・血染めの月、基本に帰れなどの特殊地形対策カード
タップインで2マナ加速させる系の枯渇ランド、サクリファイスランドを採用するデッキも目立つため、基本に帰れが劇的に刺さる場合があります。

・煙突、陰謀団の先手ブレイズなどのロックカード
むかつきは微妙にパーマネント展開に劣るデッキなので、この辺りのロックカードを出された瞬間ジリ貧で退場する場合があります。

・法務官の掌握、摘出など
むかつき1枚追放できればデッキが瓦解しますのである意味逆ワンキルショットともいえる対策カードです。
しかしむかつき自体を追放してもフィニッシャーは残っていますので、相手もサーチでエンドカードを揃えたり、サブプランに移行したりする選択肢があります。

・差し戻し、記憶の欠落、確実性の欠落、造物の学者、ヴェンセールなど
打ち消しは当然有効なのですが、インスタントマナ加速やサクリファイスランドからのむかつきぶっぱに合わせれば、再キャスト困難なため相当なテンポロスを相手に与えることとなります。

・墓地対策系全般
しばしばヨーグモスの意志やフラッシュバック頼みのむかつきをプレイすることもあり、実は墓地対策で詰んでしまう場合もありますが、状況が限定的なので対策としてはやや弱いです。

・ALL手札リフレッシュ系(Timetwister、Wheel of Fortune、意外な授かりものなど)
むかつきがパリマリを繰り返して手に入れたキーパーツ・サーチ系を再びデッキに戻してしまうので場合によっては決定打になります。周囲に打ち消しや妨害要素が不十分な場合には、手札を充実させることで妨害手段を獲得させてむかつきを牽制させる働きもあります。もちろん手札が詰まっている場合には塩を送る場合もありますので状況判断が不可欠です。基本的にロケットスタートの手札リフレッシュ系はむかつき側にとって重たい一撃になる場合があるという話です。

このようにかなりの枚数のカードが対策カードとして機能しますので、できるだけ相手の目論見通りにならないように早い段階から手を打っていきましょう。

<統率者は?>
実はこのテーマをあえて明言を避けた理由は、かっこかりさんがすでに優れた記事を書かれているからです。

EDH むかつきデッキのジェネラル
http://kakkokari.diarynote.jp/201311012327377533/

使用者視点で書かれているのでこちらを参考にしてください。
無限マナの使い道という意味でウーナもありでしょうし、黒単だって不可能ではないです。
ただやっぱり個人的主観が交じってしまいますが、青黒白の三色が鉄板なのかなって感じはします。
赤の利点 …… 0マナコボルド、ギャンブル、マナ加速系など
緑の利点 …… 有毒の蘇生、秋の帷、ザンティッドの大群、死儀礼のシャーマン、突然の衰微など

<初見で相手がむかつきデッキだと気づくためのポイント>
1.ジェネラルが黒青、あるいは黒白を含んでいる
まだこの時点では可能性として考えるレベルに留めます
2.0マナクリーチャーを展開し始めた
かなり濃厚
3.防御の光網などの妨害対策を置き始めた
むかつきデッキとは限りませんが、相手はコンボ系のデッキである可能性がかなり高いです。生き埋めデッキかもしれませんし、まだわからない段階です
4.枯渇ランド・サクリファイスランドを出してきた
これを採用するデッキというはかなり少数派です。短期決戦型である可能性が高く、むかつきデッキかもしれません
5.相手の危険行動に対し、青いデッキでありながら打ち消す素振りを見せず「俺はないけど?」と優先権をすぐ渡す
これも判断材料としては少し弱いのですが、妨害という選択肢を持たない青というのは少し怪しいです。彼は妨害する程余裕がないピーキーなデッキ、つまりはむかつきデッキかもしれません。
6.殴り系ジェネラルを公開した瞬間何かすごく嫌そうな表情でこっちを見ている
むかつきデッキを使ってると打点の高いジェネラルはなんかいやな気分になってきます
7.エドリックとか始祖ドラとかを見た瞬間、「あのジェネラルはやべーぞ!」とか言い始めてヘイトをそっちに向けようとする
これ僕がよくやります……
8.見慣れないジェネラルを公開して「いやあ、雑魚ジェネラルでごめん」とか言い始めた(でも青黒白や五色系ジェネラルではある)
むかつきデッキだと悟られないために妙にヘイトの低いジェネラルを選んでいる場合があります。油断禁物
9.クリプトでダメージを受けると他の人より妙にショックそうな表情をする
メンタル的な問題かもしれませんが、もしかするとむかつきデッキかもしれません。動向に注意です
10.法務官の掌握を打たれた瞬間、終末思想を唱え始める
察してあげてください


<記事を書く上で参考にしたサイト>
この場を借りてお礼を申し上げます。


EDH むかつきデッキのジェネラル(かっこかりさん)
http://kakkokari.diarynote.jp/201311012327377533/
EDH 《クロウマト/Cromat》(むかつきデッキ)
http://kakkokari.diarynote.jp/201303021058579531/
EDH 《老いざる苦行者、アローロ/Oloro, Ageless Ascetic》
http://kakkokari.diarynote.jp/201312062310057826/
むかつきデッキのことはかっこかりさんのDNで大体解決するぞ!ってレベルです
充実してるわー

【EDH】むかつきドリーム改良版(´・る・`)さん
http://kosansenpa.diarynote.jp/201301181836075459/
【EDH】結界士ズアー 試作1号機 【むかつき】
http://kosansenpa.diarynote.jp/201303250110129437/
デッキの基本的な動きを丁寧に解説されています。
むかつきデッキの基本形みたいな癖のないデザインだと思いますので参考になるかと思います。


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