EDHのこのパーツを考える：No1『師範の占い独楽』

第一回目の今回はEDH必須パーツと呼ばれる「師範の占い独楽」です。
レガシーでも定番に使われているカードですので、大体のことはwikiを見ればわかります。
だからその辺の話は置いといて、EDH的な視点で話しましょう。

強さの理由１：1マナのアーティファクトである
どの色のジェネラルでも入れられるライブラリー操作というのは貴重であり、ほぞであるため粗石の魔道士で探してこれるのも大きいです。
ライブラリー操作が可能なアーティファクトを他に挙げてみましょう。

・巻物棚
2マナ、起動コスト1マナとタップ
トップと手札の入れ替えを行う。無駄牌をダイナミックに入れ替えるので瞬間的な爆発力は独楽を上回ります。
一方で手札がない状況では腐りやすいアーティファクト。シャッフル手段と組み合わせたら強いのは独楽と同様です。

・ダークスティールのペンダント
2マナ、起動コスト1マナとタップ
占術１と同じような効果。独楽のほうが掘り進められる枚数が多いが、自分で不要牌を下に送れる点は優れています。

・水晶球
3マナ、起動コスト1マナとタップ
占術２。これも不要牌を自分で送れる点はいいのですが、ここまで来るとコストの割高感が否めなくなってきます。

これらと比較すると独楽はタップなしで複数回の起動が可能であり、余剰マナの処分先として運用できる点が柔軟であることが分かってきます。
さらに1マナのアーティファクトということで、初手キープの基準としても非常に強いです。
1ターン目出して、2ターン目アップキープ起動で土地や序盤展開したいカードを探して当面の展開を占うことができます（クリプトソルリンで1ターン目から起動可能）
早期にドロー操作を行うことで無駄牌を手札に引き込むリスクを軽減することに繋がっていきます。
苦しい場面でも最後の可能性をかけてトップ3枚から可能性のカードを探してこれるわけで、弱い場面がほとんどありません。

強さの理由その２：即座にトップのカードを手札に加えられる
次のドローを前借りするようなものですが、大切なのはライブラリーの上3枚をコントロールした上でそれができる点です。
EDHは隙をついて、相手を倒そうとする動きがたびたび見られます。
その中で緊急時に手札に加えることができるドローがあるということは、いわば手札を1枚多めに持った状態を作っていることに等しいわけで、カウンターや除去をトップにおけば、有事の際には素早く独楽と引き換えにドローして対処できるわけです。
これは割と受身でディフェンシブな動きですが、もしトップチューター系と組み合わせればアグレッシブな行動も可能になります。
サーチカードを多めに取られるEDHにおいてトップのカードと入れ替えられるというのは強い動きです。

強さの理由その３：それ自体がコンボパーツである
独楽は各種カードとシナジーを持ちます。
EDHでは無限マナのコンボは無数にあり、有限でも爆発的にマナを伸ばすことがたびたび見られますが、その爆発的なマナの有効利用先となる一撃必殺のカードというのは基本的にその場面以外では腐りやすいものが多いので絞られる傾向にあります。
独楽はその無数のマナの処分先として、特に以下のようなカードとのシナジーを有します。

・未来予知
独楽と同様に強力なカードですが、この二つが揃うとマナの限りドローが可能になります。無限マナがあればライブラリーを全て引き切れます。
普段ライブラリー操作で安定化を図るパーツである独楽が、エンドカードを引き当てるための最後のピースになるのです。つまりは独楽がエンドカードとなるわけです。

・ブライトハースの指輪
マナ効率は悪いですがドローエンジンとなるコンボになります。無限なら効率が悪くても問題ありません。エンドカードです。
（ブライトハースの指輪は初心者には分かりにくい強カードかもしれません。そのうち書こうと思います）

・潮吹きの暴君
基本的にはこれだけではないのですが、無限ドローを誘発させる基本パーツの一つがこれに該当します。（オパールモックスやマナクリプトのサーチからの無限マナという意味で、どちらかというと粗石の魔道士と潮吹きの暴君の二枚コンボという感じですが……）

これらは単体でもある程度の仕事を持つカードであることが重要です。
サブプランとしてデッキ内の枠を圧迫させずに組み込める点で多くのデッキに採用されやすく、脅威となるのです。

強さの理由その４：除去耐性がある
これだけ強いカードなら当然除去しようとするのが当たり前ですが、トップのカードと入れ替わられるので逃げられてしまいます。
焼け石に水ということもあり、積極的に除去呪文を打つのも馬鹿げています。

＜まとめてみる＞
・どのデッキでも採用できるライブラリー操作
・序盤から終盤まで弱い場面がほとんど見られない
・現実的なカードとの相互作用によって強力な動きが可能になる
・単純な除去ではまず対処困難

＜逆に弱いことってあるのだろうか？＞
基本的に弱いと感じれる場面は少ないですが、以下のようなケースでありえます。

１．無のロッド系を出されている
それは起動型アーティファクト全般に課された宿命のようなものであり、露骨な対策カードに弱いというのを弱点というのは少々無理があります。
自分が無のロッドで対策する側だったとしても、それを出すまでは独楽を動かせるので決して弱いとは言い切れません。
基本的に無のロッドや石のような静寂を採用しているデッキであったとしても、太陽の指輪やクリプト、独楽を排除したようなデッキというのは少数派です。ディスシナジーのようですが、実際には対策カードを出す前の最序盤で爆発力を持ったカードを排斥するのはあまり得策ではない場合が多いからです。
（序盤に爆発力がある動きはそれだけで選択肢を得ることに繋がります。相手の方が自分よりぶん回ってるなら無のロッドで低速化させればいいわけですし、自分の方が先に動けたなら後続のスピードダウンを図るために無のロッドを出せばいいわけです）

２．余剰マナが出ないデッキである
かなり限られたデッキですが、序盤からフルスロットルで展開するビートダウン型のデッキの場合だと、独楽を出したり起動したりするタイミングがほとんどなく、使用されないケースがあります。特にタイトなマナベースのビートダウンデッキにみられますが、しかしこれはかなりの少数派だと考えていいでしょう。

３．操作する意味が薄い
意味がわからないかもしれませんが、つまりは操作したところでコレ！というような明確に欲しいカードがデッキ内にないという場合です。
デッキ全体が一つの目的に組まれている場合、そのカードパワーや目的が各々のパーツで確立されているわけで操作しても欲しいものがない場合があります。そういうときの独楽はマナフラッドを防ぐのが関の山です。
1マナのカードでマナフラッドを防ぐだけでも十分な働きなはずなのですが、ジェネラルとのシナジーが特に期待できないパーツは全力で排斥したいというデッキも少なからず存在します。ただしこれも少数派ではあります。

４．相手にライブラリーを操作される
思わず神ジェイスを浮かべるかもしれませんが、むしろソーサリータイミングでしかトップ操作ができない神ジェイスにこそ独楽は強いカードです。
トップ操作による妨害は特に有毒の蘇生が強いです。トップからワンチャンかけようとするプレイヤーに対し（特にチューター直後のプレイヤーに対し）有毒の蘇生でドロー侵害をするのは強力な動きです。相手のトップを削る置物もなかなか強烈です。写本裁断機や思考掃き、石臼系のカードも独楽を殺すには強いカードですが、奇襲性と汎用性で有毒の蘇生が一つ上かもしれません。
またシャッフルするのもいいでしょう。相手がフェッチを切るタイミングでピン除去を当てるのも現実的な独楽への対処法です。
（しかし実際やってみるとわかりますが、貴重なピン除去を独楽に打つと本当の脅威への対処が難しくなります。おまけにほぞでアーティファクトということもあり、意外とすぐサーチされて戻ってきたりすることも多いのです）

＜余談：主に巻物棚について＞
自分は最初独楽を持っていなかったので結構長い間独楽なしでEDHを続けてきました。
前述したダークスティールのペンダントや水晶球など代用品を試したりもしましたが、やはり独楽を使ってみるとその差は歴然です。

一方で巻物棚は特に白いデッキと相性が良いです。

・白はハンドアドバンテージを稼ぎにくいため、他の色よりもマリガン基準が非常にシビアです。
極力マリガンをしたくない白にとって、初手に大量の不要牌を抱え込んでいても巻物棚は強引に入れ替えるという初手キープが可能になるのです。
・土地税、税収などの白にとって数少ないハンドアドバンテージを稼ぐ「土地をハンドに加える効果」との相性が極めて良いことが挙げられます。
・終末や天使への願いなど、白にはEDHでも特に強力な奇跡呪文を有しています。

よほどのケースでない限り、自分は白いデッキには必ず巻物棚を入れるようにしています。
もちろん巻物棚があるからって独楽が抜けるということはなく、どちらも白いデッキなら入るのですが……。