奇跡コン解説ですが、今回含めてあと4回で一先ず終了にしようと思います。
流れとしてはあと2つほどレシピ乗せて、奇跡コンで選択されるパーツの補足説明、最後に今後の奇跡コンのことを書いて終了です。
以降は環境に合わせて自分がどんなデッキを選ぶか怪しいので不定期にしようかと。
今回のレシピは交易所とのハイブリッド型デッキです。
[クリーチャー]
1:《鋼のヘルカイト/Steel Hellkite》
2:《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》
2:《ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph》
2:《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》
[ソーサリー]
4:《終末/Terminus》
3:《審判の日/Day of Judgment》
3:《天使への願い/Entreat the Angels》
[インスタント]
1:《有毒の蘇生/Noxious Revival》
[アーティファクト]
3:《交易所/Trading Post》
1:《イシュ・サーの背骨/Spine of Ish Sah》
3:《胆液の水源/Ichor Wellspring》
1:《マイコシンスの水源/Mycosynth Wellspring》
3:《清純のタリスマン/Pristine Talisman》
1:《太陽の宝球/Sphere of the Suns》
[エンチャント]
2:《忘却の輪/Oblivion Ring》
[プレインズウォーカー]
2:《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》
1:《解放された者、カーン/Karn Liberated》
[土地]
4:《ファイレクシアの核/Phyrexia’s Core》
4:《幽霊街/Ghost Quarter》
2:《進化する未開地/Evolving Wilds》
2:《氷河の城砦/Glacial Fortress》
1:《沼/Swamp》
10:《平地/Plains》
1:《島/Island》
1:《ゆらめく岩屋/Shimmering Grotto》
[サイドボード]
3:《機を見た援軍/Timely Reinforcements》
1:《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》
2:《四肢切断/Dismember》
1:《外科的摘出/Surgical Extraction》
4:《天界の粛清/Celestial Purge》
1:《どんでん返し/Switcheroo》
1:《イシュ・サーの背骨/Spine of Ish Sah》
2:《倦怠の宝珠/Torpor Orb》
白単色で組んでいるため奇跡コンでおなじみの思案がありません。
思案があると安定感が増すのは事実なのですが、ブロック構築を見ればわかるように思案が必ずしも必要と言うわけではありません。思案のためだけに青を足すぐらいの価値はあるんですけどね。
今回は交易所コンとのハイブリッドなので、交易所とのシナジーを優先してデッキを組み立てる必要があったため、思案を足すほどの余裕がありませんでした。
交易所と奇跡コンは両者とも動きが遅いデッキです。
交易所デッキについて簡単に説明すると、交易所による多数のアーティファクトシナジーを利用して圧倒的なアドバンテージ差をつけていくデッキです。mtgwikiの交易所の解説を見れば大体のシナジーはわかるんで、詳しいことはそっちを見てください。
このデッキにおいては交易所がもつ四つのモードは、以下の役目を担っています。
(1),(T),カードを1枚捨てる:あなたは4点のライフを得る。
奇跡が起こるまで時間を稼ぐ大切なモードです。特定のデッキにおいてはこの能力で詰みにすることも可能。地味だけど回り出すと結構エグい。
(1),(T),ライフを1点支払う:白の0/1のヤギ(Goat)・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
ライフ回復で追いつかないならファッティ出せば解決や→それヤギでブロックしますね^^
というのは半分ぐらい冗談ですが、ライフ回復と比べると悠長な半面、カードアドバンテージを失わないのでこちらが優先される場合も多い。
実際には3番目の起動能力の餌として使う機会が多いです。
(1),(T),クリーチャーを1体生け贄に捧げる:あなたの墓地にあるアーティファクト・カード1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。
交易所は1枚出れば悪さができる、と書いてある能力。要するに交易所を破壊しない限り、いくらでもアドバンテージ稼ぐ。
真面目な身代わりならランパン&ドロー、ワム子ならワームつるぼエンジンに早変わり。奇跡コンの線の細い攻めを補って余りあるフィニッシャー能力。
(1),(T),アーティファクトを1つ生け贄に捧げる:カードを1枚引く。
胆液の水源みたいなサクってアドを稼ぐカードと相性抜群。イシュサーの背骨をサクって何度でも場に出すという流れは酷いとしか言いようがない。
なお奇跡コンにとってはインスタントタイミングでドローできるという点が何よりも大切。
まぁこんな感じです。
奇跡コンではライフ回復とヤギトークンを防御手段として活用し、ドロー能力を奇跡発生のためのエンジンとして用いていきます。奇跡が出なくとも、優秀過ぎるコントロール性を持つ3番目のモードを別の勝ち筋として活用できます。クリーチャーに対しては全体除去を用いていき、交易所やタリスマンでライフ回復して何とかしのいで、最後は奇跡天使、ギデオン、ワム子あたりで決着をつけます。特筆するような点は特にないです。はい。
欠点としては交易所に依存し過ぎているため、交易所を潰されるとかなり辛いです。記憶殺しや外科的摘出でも乙って感じですが、そうでなくとも交易所だけをピンポイントで潰され続けられるだけでもただの出来の悪い奇跡コンになるので辛いです。石のような静寂なんて出されたら悶絶する。交易所は並べるほど楽しいことになるのでバンバン並べていい気がしますぜ。まとめて破壊されても俺は謝らない。
二つ目は初動が基本的に5マナからという遅さ。デイジャと身代わりが4マナとはいえ、交易所のプレイコスト+起動コストが5マナなので初動は遅く、またイシュサーの背骨の7マナ、ワム子の6マナなど高カロリーなデッキなので今までより動きがもっさりしています。機を見た援軍を入れたほうがいいと思いますが、それでどうにかなるほど軽いデッキでもないです。
三つ目は奇跡のオーバーキル感。別に天使奇跡なくても勝てそうな気もします。ここにこだわりぐらいなら純正の交易所コンにして、序盤を凌げるカードを足すほうが多分強いと感じました。
というわけで奇跡コンとしては個人的には失敗作だと思っています。
ではなぜこのレシピを紹介したかと言うと、奇跡コンを作る際に考えなければならない点をこのデッキは反面教師的に教えてくれているからです。
奇跡コンを作る上で自分なりに考えている項目です。
1.初動の遅さへの克服手段
→早いビートダウンデッキに対しての回答は準備されているか?
→デッキを加速させるための実用性のあるギミックは用意されているか?
→なければ加速せずとも凌げるだけの回答は準備されているか?
2.勝ち筋の薄さの克服手段
→想定している勝ち手段の長所と短所は説明できるか?
→短所を克服するデッキ構成はできているか?
→長所がどんなデッキに対して有効なのか説明できるか?
3.特定のカードやデッキに対して詰んではいないか?
→自分のデッキが何に弱いのかを説明できるか?
→自分のデッキに対する相手の対策手段の一例を挙げられるか?
→対抗手段への回答は存在するか?
1.初動の遅さへの克服手段
→早いビートダウンデッキに対しての回答は準備されているか?
奇跡終末(1マナ)……思案がないので完全に運任せ
タリスマン(3マナ)……毎ターン1ライフ回復。マナ加速がメインで、ライフ回復は長期化したときに効果を発揮してくる
デイジャ(4マナ)……打てれば強いが、不死再生に弱く、デルバーではカウンターを構えられる&返しに修復。感染だと墨蛾への回答にならない
交易所(5マナ)……起動コストが1マナかかるので最速で5マナ必要。4点ライフ回復は強いが、手遅れなケースも多い
ギデオン(5マナ)……非常に防御性が高い性能。+2は安心感高いがギデオンをスペルで除去→ガラ空きの本体にアタックという想定外の死も起こりうる
▼結論:
回答としてはいささか弱い。数ターンはほとんどマグロみたいなデッキだとわかる。機を見た援軍がサイドにあるが、メインから入れたほうがいい気がする。
★結論からの解決案:
転倒の磁石(3マナ)は回答としては悪くないが、呪禁に弱いという欠点がある。交易所で回し始めたら幾つかのデッキには効果的かもしれない。
急送(1マナ)だが、そこまでアーティファクトを並べていくような感じのデッキではないため金属術を達成できるか怪しい。
ライフ回復系、濃霧系のカードは弱いのであまり入れたくない。汎用性の高い忘却の輪をもう少し足してもいいかもしれない。
→デッキを加速させるための実用性のあるギミックは用意されているか?
マイコシンスの水源(2マナ)……土地サーチ、手札に入るのでマナ加速というよりはマナの安定化に繋がる存在
太陽の宝球(2マナ)……タップイン、3回まで好きな色マナ。
タリスマン(3マナ)……ライフゲインつきマナ加速、無色。
真面目な身代わり(4マナ)……ランパンCIPクリーチャー
▼結論:
マナ加速はそこそこある。単色なので色マナ事情は問題ない。真面目な身代わりはちょっと遅い。太陽の宝球は弱いのであまり入れたくない。
序盤のドローが胆液の水源だけなので安定して土地を伸ばせるかで不安が残る。
★結論からの解決案:
マイコシンスの水源はこれ以上増やしたくない。太陽の宝球も増やしたいカードではない。素直に土地の枚数を増やすのが無難か。
2.勝ち筋の薄さの克服手段
→想定している勝ち手段の長所と短所は説明できるか?
勝ち手段は以下。
A.天使への願い
長所:マナが並んだときの驚異的な爆発力。早い段階で奇跡で打てればそれだけで終わるゲームも多い。対抗手段がなければ相手は死ぬ
短所:素打ちが高カロリー。漸増爆弾や返しのターンでの黒頂点などで全滅させられるなど対抗手段も多い
B.ワム子or鋼のヘルカイト(交易所支援)
長所:交易所があれば何度でも蘇る。ワム子はライフレースに強く、ヘルカイトは反撃の目を薙ぎ払いながら突き進む攻撃的なフィニッシャー
短所:高カロリーなフィニッシャー。交易所に依存している。
C.ギデオンのアクティベイト
長所:終末デイジャで流した荒野を悠々と一人で殴りに行ける。本来は防御的な性能なのでデッキコンセプト的に噛み合っている
短所:喉首狙いなどのピンポイント除去で処理されることが多い
▼結論:
コントロールとしては勝ち手段は豊富。逆にいえば方向性がふらふらしているとも。それに勝ち手段が全て大味に思える。
天使への願いは奇跡で出す手段として交易所のドローに依存しており、交易所を潰されると勝ち手段AとBが弱体化する欠点が存在する。
★結論からの解決案:
交易所に依存することから離れ……たらもう交易所コンではないので難しいところ。全体的に高カロリー過ぎるので奇跡天使の枚数を減らしたほうがいい……そうすると奇跡コンじゃない気がする。何かを取れば何かを失う。美味しいとこどりだと思いきや、お互いの領域を侵しあう組み合わせなのか……?
これだけではあれなので、フィニッシャーをもう少し軽量にするというアイデアもある。たとえばこのデッキは白単色なので墨蛾の生息地が入る余地があるため、第4の勝ち手段として毒殺を取り入れるなどである。狂乱病の砂を足したライブラリー破壊などもありえなくはないが、ここまで来るとブレすぎだと思う。墨蛾を入れつつ、さらに殴打頭蓋あたりを加えるのが無難にいい回答だと思ったがどうだろうか。
→短所を克服するデッキ構成はできているか?
……サイドボーディングでフォローできているとはとてもいえない。四肢切断も機を見た援軍もパージを苦しい序盤を凌ぐための回答。漸増爆弾に対してはリングや背骨で消し飛ばすしかない。
返しのターンによる黒頂点やデイジャを想定しているデッキに対しては1枚差しの有毒の蘇生が回答として用意されている。要は相手のターンエンドに有毒の蘇生で天使への願いをトップデッキさせて交易所のドローで奇跡でキャスト、次ターン殴って即死させるという流れ。……まぁ悪くないけどこのデッキならワム子とかに頼ればそれでいい気がする。あと黒混じりのデッキは大抵の場合、交易所か天使への願いをリムーブしてくる気がする。辛いね。
▼結論:
回答は用意しているが、ここにも無視できない穴が存在する。(交易所依存から抜け出せていない点)
★結論からの解決案:
上記の通りです。
→長所がどんなデッキに対して有効なのか説明できるか?
▼結論
勝ち手段の方向性の多さはコントロールデッキに対しての対処要員を増やすので強みとなる。
天使への願いはケッシグランプに対して一撃必殺。デルバーに対してはバウンスされるとつらいが4/4飛行はなかなか有効。
ワム子、鋼のヘルカイトはビートダウン系に対する返しに強い。ヘルカイトは同系のデッキのマナ基盤潰しなど。変形者の使いまわしは伝説のクリーチャー殺しとなる。ギデオンはインスタント除去がないデッキにとって安定感のあるフィニッシャーとなりえる。
3.特定のカードやデッキに対して詰んではいないか?
→自分のデッキが何に弱いのかを説明できるか?
主要デッキに対する感想はこんな感じではないかな。
コントロール:交易所に依存しているため、そこを潰すか潰されないかの攻防となる。通してくれたらほぼ勝ち。
ケッシグランプ:色にもよるが凌げば勝てるか。サイドボードで酸スラ、徴集兵足しそうなら倦怠で封じていく
ゾンビ:交易所が働き始めたらほぼ勝ち。終末で相手の主要クリーチャーを追放できても勝ちに近づける。体感的に五分以上のマッチアップ。
赤単:早すぎてどうにもならないことも多く、アーティファクト対策はちゃんとしている色なので結構しんどい。サイドから本気出す
デルバー:勝てる気がしない。交易所もデイジャもきっと打ち消すor潰されて終了
→自分のデッキに対する相手の対策手段の一例を挙げられるか?
▼結論
コントロール:
キーカードに対する対策……各種手札破壊、記憶殺し、外科的摘出、カウンター
アーティファクトに対する対策……神への捧げもの、石のような静寂、存在の破棄、古えの遺恨、カーン
クリーチャーに対する対策……漸増爆弾、各種クリーチャー除去
ケッシグランプ:
古えの遺恨、忘却の輪、ヴィリジアンの堕落者(緑頂点から呼ばれる可能性有)、酸スラ(アーティファクト、マナ基盤潰し)、帰化、徴集兵(交易所をセルフ生け贄させて潰すテクニックがある)、スラーン(再生持ち)、ケッシグ(全てのクリーチャーがフィニッシャーに)、墨蛾の生息地(ソーサリー除去が無意味)、原初の狩人、ガラク(全体除去でもトークン生成で立て直せる)、内にいる獣
ゾンビ:
手札破壊、カウンター、外科的摘出、虚無の呪文爆弾(交易所による再利用封じ)
赤単:
古えの遺恨、躁の蛮人、赤祭殿
デルバー:
カウンター
感染:
墨蛾の生息地
→対抗手段への回答は存在するか?
▼結論
漸増爆弾……先置きは率先して潰し、後出しには相手ターンでの奇跡発動を狙う(ソーサリー除去も同様)。あるいは天使への願いそのものをサイドアウトする
石のような静寂……忘却の輪、イシュサーの背骨で対処
アーティファクト破壊……交易所を交易所で回収する流れを作る、変形者で交易所を水増し
ケッシグ墨蛾……幽霊街、イシュサーの背骨、カーン
虚無の呪文爆弾……早めに使わせる、再利用せずに勝てる状況を組み立てる
こんな感じに問題点を洗い出していくと、奇跡コンの弱点のうち「フィニッシャーの薄さ」を交易所コンが補ってくれている半面、交易所の弱点はそのまま据え置きになっているという感じであることがわかります。当たり前なんですけどね。ぶっちゃけた話、交易所コンに奇跡コンを足しただけ。奇跡コンのほうがおまけ。そのおまけである奇跡コンが何も補おうとしていない。そりゃデッキとして何一つ成熟しているわけねぇやな!ハハハ!
……次回のレシピはこういう失敗レシピ以外の、もう一つの胡散臭い奇跡コンです。
あ、サイドボードの解説ですか?
どんでん返しがあるデッキのサイドボードの解説が欲しいとな!?
流れとしてはあと2つほどレシピ乗せて、奇跡コンで選択されるパーツの補足説明、最後に今後の奇跡コンのことを書いて終了です。
以降は環境に合わせて自分がどんなデッキを選ぶか怪しいので不定期にしようかと。
今回のレシピは交易所とのハイブリッド型デッキです。
[クリーチャー]
1:《鋼のヘルカイト/Steel Hellkite》
2:《ワームとぐろエンジン/Wurmcoil Engine》
2:《ファイレクシアの変形者/Phyrexian Metamorph》
2:《真面目な身代わり/Solemn Simulacrum》
[ソーサリー]
4:《終末/Terminus》
3:《審判の日/Day of Judgment》
3:《天使への願い/Entreat the Angels》
[インスタント]
1:《有毒の蘇生/Noxious Revival》
[アーティファクト]
3:《交易所/Trading Post》
1:《イシュ・サーの背骨/Spine of Ish Sah》
3:《胆液の水源/Ichor Wellspring》
1:《マイコシンスの水源/Mycosynth Wellspring》
3:《清純のタリスマン/Pristine Talisman》
1:《太陽の宝球/Sphere of the Suns》
[エンチャント]
2:《忘却の輪/Oblivion Ring》
[プレインズウォーカー]
2:《ギデオン・ジュラ/Gideon Jura》
1:《解放された者、カーン/Karn Liberated》
[土地]
4:《ファイレクシアの核/Phyrexia’s Core》
4:《幽霊街/Ghost Quarter》
2:《進化する未開地/Evolving Wilds》
2:《氷河の城砦/Glacial Fortress》
1:《沼/Swamp》
10:《平地/Plains》
1:《島/Island》
1:《ゆらめく岩屋/Shimmering Grotto》
[サイドボード]
3:《機を見た援軍/Timely Reinforcements》
1:《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》
2:《四肢切断/Dismember》
1:《外科的摘出/Surgical Extraction》
4:《天界の粛清/Celestial Purge》
1:《どんでん返し/Switcheroo》
1:《イシュ・サーの背骨/Spine of Ish Sah》
2:《倦怠の宝珠/Torpor Orb》
白単色で組んでいるため奇跡コンでおなじみの思案がありません。
思案があると安定感が増すのは事実なのですが、ブロック構築を見ればわかるように思案が必ずしも必要と言うわけではありません。思案のためだけに青を足すぐらいの価値はあるんですけどね。
今回は交易所コンとのハイブリッドなので、交易所とのシナジーを優先してデッキを組み立てる必要があったため、思案を足すほどの余裕がありませんでした。
交易所と奇跡コンは両者とも動きが遅いデッキです。
交易所デッキについて簡単に説明すると、交易所による多数のアーティファクトシナジーを利用して圧倒的なアドバンテージ差をつけていくデッキです。mtgwikiの交易所の解説を見れば大体のシナジーはわかるんで、詳しいことはそっちを見てください。
このデッキにおいては交易所がもつ四つのモードは、以下の役目を担っています。
(1),(T),カードを1枚捨てる:あなたは4点のライフを得る。
奇跡が起こるまで時間を稼ぐ大切なモードです。特定のデッキにおいてはこの能力で詰みにすることも可能。地味だけど回り出すと結構エグい。
(1),(T),ライフを1点支払う:白の0/1のヤギ(Goat)・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
ライフ回復で追いつかないならファッティ出せば解決や→それヤギでブロックしますね^^
というのは半分ぐらい冗談ですが、ライフ回復と比べると悠長な半面、カードアドバンテージを失わないのでこちらが優先される場合も多い。
実際には3番目の起動能力の餌として使う機会が多いです。
(1),(T),クリーチャーを1体生け贄に捧げる:あなたの墓地にあるアーティファクト・カード1枚を対象とし、それをあなたの手札に戻す。
交易所は1枚出れば悪さができる、と書いてある能力。要するに交易所を破壊しない限り、いくらでもアドバンテージ稼ぐ。
真面目な身代わりならランパン&ドロー、ワム子ならワームつるぼエンジンに早変わり。奇跡コンの線の細い攻めを補って余りあるフィニッシャー能力。
(1),(T),アーティファクトを1つ生け贄に捧げる:カードを1枚引く。
胆液の水源みたいなサクってアドを稼ぐカードと相性抜群。イシュサーの背骨をサクって何度でも場に出すという流れは酷いとしか言いようがない。
なお奇跡コンにとってはインスタントタイミングでドローできるという点が何よりも大切。
まぁこんな感じです。
奇跡コンではライフ回復とヤギトークンを防御手段として活用し、ドロー能力を奇跡発生のためのエンジンとして用いていきます。奇跡が出なくとも、優秀過ぎるコントロール性を持つ3番目のモードを別の勝ち筋として活用できます。クリーチャーに対しては全体除去を用いていき、交易所やタリスマンでライフ回復して何とかしのいで、最後は奇跡天使、ギデオン、ワム子あたりで決着をつけます。特筆するような点は特にないです。はい。
欠点としては交易所に依存し過ぎているため、交易所を潰されるとかなり辛いです。記憶殺しや外科的摘出でも乙って感じですが、そうでなくとも交易所だけをピンポイントで潰され続けられるだけでもただの出来の悪い奇跡コンになるので辛いです。石のような静寂なんて出されたら悶絶する。交易所は並べるほど楽しいことになるのでバンバン並べていい気がしますぜ。まとめて破壊されても俺は謝らない。
二つ目は初動が基本的に5マナからという遅さ。デイジャと身代わりが4マナとはいえ、交易所のプレイコスト+起動コストが5マナなので初動は遅く、またイシュサーの背骨の7マナ、ワム子の6マナなど高カロリーなデッキなので今までより動きがもっさりしています。機を見た援軍を入れたほうがいいと思いますが、それでどうにかなるほど軽いデッキでもないです。
三つ目は奇跡のオーバーキル感。別に天使奇跡なくても勝てそうな気もします。ここにこだわりぐらいなら純正の交易所コンにして、序盤を凌げるカードを足すほうが多分強いと感じました。
というわけで奇跡コンとしては個人的には失敗作だと思っています。
ではなぜこのレシピを紹介したかと言うと、奇跡コンを作る際に考えなければならない点をこのデッキは反面教師的に教えてくれているからです。
奇跡コンを作る上で自分なりに考えている項目です。
1.初動の遅さへの克服手段
→早いビートダウンデッキに対しての回答は準備されているか?
→デッキを加速させるための実用性のあるギミックは用意されているか?
→なければ加速せずとも凌げるだけの回答は準備されているか?
2.勝ち筋の薄さの克服手段
→想定している勝ち手段の長所と短所は説明できるか?
→短所を克服するデッキ構成はできているか?
→長所がどんなデッキに対して有効なのか説明できるか?
3.特定のカードやデッキに対して詰んではいないか?
→自分のデッキが何に弱いのかを説明できるか?
→自分のデッキに対する相手の対策手段の一例を挙げられるか?
→対抗手段への回答は存在するか?
1.初動の遅さへの克服手段
→早いビートダウンデッキに対しての回答は準備されているか?
奇跡終末(1マナ)……思案がないので完全に運任せ
タリスマン(3マナ)……毎ターン1ライフ回復。マナ加速がメインで、ライフ回復は長期化したときに効果を発揮してくる
デイジャ(4マナ)……打てれば強いが、不死再生に弱く、デルバーではカウンターを構えられる&返しに修復。感染だと墨蛾への回答にならない
交易所(5マナ)……起動コストが1マナかかるので最速で5マナ必要。4点ライフ回復は強いが、手遅れなケースも多い
ギデオン(5マナ)……非常に防御性が高い性能。+2は安心感高いがギデオンをスペルで除去→ガラ空きの本体にアタックという想定外の死も起こりうる
▼結論:
回答としてはいささか弱い。数ターンはほとんどマグロみたいなデッキだとわかる。機を見た援軍がサイドにあるが、メインから入れたほうがいい気がする。
★結論からの解決案:
転倒の磁石(3マナ)は回答としては悪くないが、呪禁に弱いという欠点がある。交易所で回し始めたら幾つかのデッキには効果的かもしれない。
急送(1マナ)だが、そこまでアーティファクトを並べていくような感じのデッキではないため金属術を達成できるか怪しい。
ライフ回復系、濃霧系のカードは弱いのであまり入れたくない。汎用性の高い忘却の輪をもう少し足してもいいかもしれない。
→デッキを加速させるための実用性のあるギミックは用意されているか?
マイコシンスの水源(2マナ)……土地サーチ、手札に入るのでマナ加速というよりはマナの安定化に繋がる存在
太陽の宝球(2マナ)……タップイン、3回まで好きな色マナ。
タリスマン(3マナ)……ライフゲインつきマナ加速、無色。
真面目な身代わり(4マナ)……ランパンCIPクリーチャー
▼結論:
マナ加速はそこそこある。単色なので色マナ事情は問題ない。真面目な身代わりはちょっと遅い。太陽の宝球は弱いのであまり入れたくない。
序盤のドローが胆液の水源だけなので安定して土地を伸ばせるかで不安が残る。
★結論からの解決案:
マイコシンスの水源はこれ以上増やしたくない。太陽の宝球も増やしたいカードではない。素直に土地の枚数を増やすのが無難か。
2.勝ち筋の薄さの克服手段
→想定している勝ち手段の長所と短所は説明できるか?
勝ち手段は以下。
A.天使への願い
長所:マナが並んだときの驚異的な爆発力。早い段階で奇跡で打てればそれだけで終わるゲームも多い。対抗手段がなければ相手は死ぬ
短所:素打ちが高カロリー。漸増爆弾や返しのターンでの黒頂点などで全滅させられるなど対抗手段も多い
B.ワム子or鋼のヘルカイト(交易所支援)
長所:交易所があれば何度でも蘇る。ワム子はライフレースに強く、ヘルカイトは反撃の目を薙ぎ払いながら突き進む攻撃的なフィニッシャー
短所:高カロリーなフィニッシャー。交易所に依存している。
C.ギデオンのアクティベイト
長所:終末デイジャで流した荒野を悠々と一人で殴りに行ける。本来は防御的な性能なのでデッキコンセプト的に噛み合っている
短所:喉首狙いなどのピンポイント除去で処理されることが多い
▼結論:
コントロールとしては勝ち手段は豊富。逆にいえば方向性がふらふらしているとも。それに勝ち手段が全て大味に思える。
天使への願いは奇跡で出す手段として交易所のドローに依存しており、交易所を潰されると勝ち手段AとBが弱体化する欠点が存在する。
★結論からの解決案:
交易所に依存することから離れ……たらもう交易所コンではないので難しいところ。全体的に高カロリー過ぎるので奇跡天使の枚数を減らしたほうがいい……そうすると奇跡コンじゃない気がする。何かを取れば何かを失う。美味しいとこどりだと思いきや、お互いの領域を侵しあう組み合わせなのか……?
これだけではあれなので、フィニッシャーをもう少し軽量にするというアイデアもある。たとえばこのデッキは白単色なので墨蛾の生息地が入る余地があるため、第4の勝ち手段として毒殺を取り入れるなどである。狂乱病の砂を足したライブラリー破壊などもありえなくはないが、ここまで来るとブレすぎだと思う。墨蛾を入れつつ、さらに殴打頭蓋あたりを加えるのが無難にいい回答だと思ったがどうだろうか。
→短所を克服するデッキ構成はできているか?
……サイドボーディングでフォローできているとはとてもいえない。四肢切断も機を見た援軍もパージを苦しい序盤を凌ぐための回答。漸増爆弾に対してはリングや背骨で消し飛ばすしかない。
返しのターンによる黒頂点やデイジャを想定しているデッキに対しては1枚差しの有毒の蘇生が回答として用意されている。要は相手のターンエンドに有毒の蘇生で天使への願いをトップデッキさせて交易所のドローで奇跡でキャスト、次ターン殴って即死させるという流れ。……まぁ悪くないけどこのデッキならワム子とかに頼ればそれでいい気がする。あと黒混じりのデッキは大抵の場合、交易所か天使への願いをリムーブしてくる気がする。辛いね。
▼結論:
回答は用意しているが、ここにも無視できない穴が存在する。(交易所依存から抜け出せていない点)
★結論からの解決案:
上記の通りです。
→長所がどんなデッキに対して有効なのか説明できるか?
▼結論
勝ち手段の方向性の多さはコントロールデッキに対しての対処要員を増やすので強みとなる。
天使への願いはケッシグランプに対して一撃必殺。デルバーに対してはバウンスされるとつらいが4/4飛行はなかなか有効。
ワム子、鋼のヘルカイトはビートダウン系に対する返しに強い。ヘルカイトは同系のデッキのマナ基盤潰しなど。変形者の使いまわしは伝説のクリーチャー殺しとなる。ギデオンはインスタント除去がないデッキにとって安定感のあるフィニッシャーとなりえる。
3.特定のカードやデッキに対して詰んではいないか?
→自分のデッキが何に弱いのかを説明できるか?
主要デッキに対する感想はこんな感じではないかな。
コントロール:交易所に依存しているため、そこを潰すか潰されないかの攻防となる。通してくれたらほぼ勝ち。
ケッシグランプ:色にもよるが凌げば勝てるか。サイドボードで酸スラ、徴集兵足しそうなら倦怠で封じていく
ゾンビ:交易所が働き始めたらほぼ勝ち。終末で相手の主要クリーチャーを追放できても勝ちに近づける。体感的に五分以上のマッチアップ。
赤単:早すぎてどうにもならないことも多く、アーティファクト対策はちゃんとしている色なので結構しんどい。サイドから本気出す
デルバー:勝てる気がしない。交易所もデイジャもきっと打ち消すor潰されて終了
→自分のデッキに対する相手の対策手段の一例を挙げられるか?
▼結論
コントロール:
キーカードに対する対策……各種手札破壊、記憶殺し、外科的摘出、カウンター
アーティファクトに対する対策……神への捧げもの、石のような静寂、存在の破棄、古えの遺恨、カーン
クリーチャーに対する対策……漸増爆弾、各種クリーチャー除去
ケッシグランプ:
古えの遺恨、忘却の輪、ヴィリジアンの堕落者(緑頂点から呼ばれる可能性有)、酸スラ(アーティファクト、マナ基盤潰し)、帰化、徴集兵(交易所をセルフ生け贄させて潰すテクニックがある)、スラーン(再生持ち)、ケッシグ(全てのクリーチャーがフィニッシャーに)、墨蛾の生息地(ソーサリー除去が無意味)、原初の狩人、ガラク(全体除去でもトークン生成で立て直せる)、内にいる獣
ゾンビ:
手札破壊、カウンター、外科的摘出、虚無の呪文爆弾(交易所による再利用封じ)
赤単:
古えの遺恨、躁の蛮人、赤祭殿
デルバー:
カウンター
感染:
墨蛾の生息地
→対抗手段への回答は存在するか?
▼結論
漸増爆弾……先置きは率先して潰し、後出しには相手ターンでの奇跡発動を狙う(ソーサリー除去も同様)。あるいは天使への願いそのものをサイドアウトする
石のような静寂……忘却の輪、イシュサーの背骨で対処
アーティファクト破壊……交易所を交易所で回収する流れを作る、変形者で交易所を水増し
ケッシグ墨蛾……幽霊街、イシュサーの背骨、カーン
虚無の呪文爆弾……早めに使わせる、再利用せずに勝てる状況を組み立てる
こんな感じに問題点を洗い出していくと、奇跡コンの弱点のうち「フィニッシャーの薄さ」を交易所コンが補ってくれている半面、交易所の弱点はそのまま据え置きになっているという感じであることがわかります。当たり前なんですけどね。ぶっちゃけた話、交易所コンに奇跡コンを足しただけ。奇跡コンのほうがおまけ。そのおまけである奇跡コンが何も補おうとしていない。そりゃデッキとして何一つ成熟しているわけねぇやな!ハハハ!
……次回のレシピはこういう失敗レシピ以外の、もう一つの胡散臭い奇跡コンです。
あ、サイドボードの解説ですか?
どんでん返しがあるデッキのサイドボードの解説が欲しいとな!?
コメント
大学に奇跡の論文提出するレベルwww
交易所と精神隷属機で相手を操りまくりできるんで強いっすよ。村田さんは宝物の魔導師から、サーチしてましたね。
魔導師はニンの杖やワームもサーチできるから面白いと思いましたね(小並感)
精神隷属器!しまった!それがあったかぁぁっぁぁあ!!!熱い!
第4の勝ち手段きた!コントロールデッキは死ぬ!第一部完!!
やっぱり青足してサーチドロー強化がよかったんですかねー
どんでん返しよりは絶対正解だと思う
ヴェンセールブリンクまでしたかったけどもうデッキに枠がなくて諦めました
背骨ブリンクとか心折れるコンボなのに残念だわ……